サッカー日本代表のオシム監督(66)が16日未明に自宅で脳こうそくで倒れ、緊急入院したことは、関係者に大きなショックをもたらした。日本が出場する2010年ワールドカップ(W杯)南アフリカ大会のアジア地区3次予選は、来年2月から始まる。高齢で心臓などに持病も抱えているだけに、現場に復帰できるのか懸念される。
オシム監督は千葉県浦安市の順天堂浦安病院(千葉)の集中治療室に入院した。この日夕方から日本サッカー協会で川淵三郎会長と緊急会見した田嶋幸三専務理事は「命うんぬんについて大丈夫かどうかは言えない」と声を落とした。
病院にはJ1千葉で監督を務める息子のアマルさん(40)らが駆けつけた。関係者によると、現在は薬で眠っている状態という。
連絡を受けた田嶋専務理事も朝から病院を訪れたが、医師から説明を聞くだけで、面会できなかったという。記者会見では詳しい容体が明らかにされず、関係者の間でも心配する声が広がっている。
◇今後の日本代表強化に影響必至
オシム監督の緊急入院により、今後の日本代表の強化に影響が出るのは必至だ。回復しても66歳という年齢から日本代表監督というストレスの強い仕事を続けられるか不安が残る。一定期間、医師の診察を受けながら、現場復帰を探ることになりそうだ。
オシム監督は日本人の俊敏さを生かした「人もボールも動くサッカー」を強化の柱に指導してきた。日本が出場するW杯アジア3次予選は、今月25日に南アフリカで行われる国際サッカー連盟(FIFA)の組み合わせ抽選で対戦相手と日程が決まる。
オシム監督は03年、就任1年目で下位に低迷していたJ1千葉を3位に押し上げ、その手腕が注目を浴びた。昨年7月に日本代表監督に就任し、これまで12勝5分け3敗(PK戦は引き分け扱い)の成績を残した。6月のキリンカップで優勝したが、7月のアジアカップではFWの決定力不足などで4位に終わった。その教訓を踏まえ、12月の代表合宿や来年1月の国際親善試合などを検討していたところだった。
W杯アジア3次予選では長期移動なども予想され、精神面だけでなく体力的にも大きな負担がかかるのは避けられない。今後、オシム監督の回復状況を見守りながら、日本代表チームの指導体制をどう整えるかという課題が浮上する可能性もある。【江連能弘】
◇長嶋氏も脳こうそく患う
04年3月、元巨人監督で野球の日本代表監督だった長嶋茂雄氏(71)も脳こうそくを患った。
自宅で気分が悪くなり、入院。約40日後に退院し、リハビリに専念し、同年8月のアテネ五輪で代表監督としてグラウンドに立つことを目指した。ツエなしで歩行できるまでに回復したものの、右腕に重いマヒが残るなどチームを指揮するところまでは回復しなかった。監督の肩書は残したものの、五輪直前の8月初旬に復帰を断念した。
脳こうそくは、血栓などにより、脳内の血液の流れが止まり、脳細胞が壊死する病気。マヒや意識・感覚障害などを引き起こす。長嶋氏も右腕など一部にマヒを残すものの、会話も交わせるようになり、現在ではプロ野球観戦など公の場に姿を現すことが多くなった。
【略歴】イビチャ・オシム氏。1941年サラエボ出身。旧ユーゴスラビア代表でFWや攻撃的MFとして活躍。64年東京五輪の日本戦で2点を入れた。86年旧ユーゴ監督に就任し、90年W杯イタリア大会8強。94年からオーストリア1部リーグのシュトルム・グラーツを指揮した。2003年、J1千葉(当時市原)の監督となり、06年7月、ブラジル出身のジーコ前監督の後任として日本代表監督に就任した。191センチ、90キロ。
ー毎日新聞ー





